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詩音

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「責任の本質」 1

将太は、苛立ちを隠せないまま、基地の門をくぐった。

午前中に学校から帰ってきたのは初めてだった。

いつもなら、学校にシン達が迎えに来てくれていたが今日は違う。

靴を脱ぎ、リビングに向かうと、
そこにはシンがいた。

ちょうど書類を整理していたシンは、
将太の姿を見るなり眉をひそめた。

「……お前、なんでこんなに早く帰ってきた?」

将太は何も答えなかった。

無言のまま、ソファにどさっと座る。

シンは将太の顔色を見て、
何かあったことを察した。

「どうかしたのか?」

しかし、将太は口をつぐんだまま、
そっぽを向いた。

シンはしばらく彼の様子を見ていたが、
やがて静かに言った。

「……隠し事はしないと約束しただろう?」

将太の肩が、びくっと動いた。

「……」

「言いたくないなら、それでもいい。
ただ、お前が苦しいなら話せ。俺は聞く。」

シンの落ち着いた声が、部屋に響く。

それでもしばらくの間、将太は唇を噛み締めていたが、やがて観念したように口を開いた。

「……学校で喧嘩した。」

「……喧嘩?」

ちょうどキッチンからやってきたニックが、興味深そうに首を傾げた。

「また喧嘩〜? 将太は最近トラブルが多いね〜。」

「違う……これは、ただの喧嘩じゃない。」

将太は険しい顔で言った。

「みんな、責任を押し付け合ってばっかりで……イライラして……」

シンとニックは黙って続きを促す。

「教室で物が壊れたんだ。誰かがふざけて
蹴飛ばして、窓ガラスが割れた。
先生が『誰がやったんだ?』って聞いたら、みんな犯人探しを始めた。」

「お前が蹴ったんだろ!」

「いや、違う! 俺は見てただけだ!」

「でも、お前が先にやれって言ったじゃん!」

「そんな言い合いがずっと続いてさ……」

将太は拳を握りしめる。

「誰の責任とか、どうでもいいだろ!
これからどうすればいいか考えるほうが大事だろう! って言ったんだ。」

「でも、みんな納得しなくて……結局、
『誰が犯人か?』『誰が元凶か?』って話になって……」

将太は奥歯を噛み締めた。

「頭に来て……言ったんだ。
『犯人がいるとしたら、全員だろ!』って。」

「……それで?」

「それで、もういいやって思って……
途中で帰ってきちゃった。」
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