この時間に猫イビキ。。夜中起きて暴れるパターンなのよ

🍠こ〜ちゃんの夜のいもほり

春の終わり。
じゃがいもを掘り終えた畑を前に、こ〜ちゃんは次は何を育てようかと考えていた。

「やっぱり、さつまいもだな。」
去年、家族で食べた焼きいもがとても甘くておいしかったのを思い出した。

その日、こ〜ちゃんはスコップを持ち、Tシャツ一枚で汗をぬぐいながら土を起こした。
肥料を混ぜ、畝を作り、ホームセンターで買ってきた苗を一本ずつやさしく植えていく。
小さな畑――畳で六枚分ほどの広さ。けれど、その土の中には、こ〜ちゃんの夢がぎっしり詰まっていた。

「秋になったら、孫たちと芋掘りができたらいいな。」
そう思うと、どんなに汗が流れても、笑顔がこぼれた。

夏のあいだは強い日差しと、雨の少ない日々が続いた。
ジョウロを片手に、毎朝のように水をやる。
「ちゃんと育ってくれよ…」
そんな言葉が風に混じる。

やがて秋。
緑のつるがぐんぐん伸び、いよいよ収穫のときがやってきた。

こ〜ちゃんは葉を刈り、土を柔らかくして準備を始める。
３歳の孫でも楽しめるように、いもを一度掘り上げて、もう一度やさしく埋め直した。
「よし、これなら“うんとこしょ、どっこいしょ”ができるぞ。」
頭の中には、あの絵本『大きなかぶ』のシーンが浮かんでいた。

その日は平日。
義理の娘（ママ）は仕事で遅くなり、孫たちの帰りも夕暮れ時になった。
空はすっかりオレンジから群青へ――。
「暗くなっちゃうなぁ…」

ふと、こ〜ちゃんは思い出した。
夜釣り用の投光器。
倉庫からそれを取り出し、畑をやさしく照らした。
白い光が秋の空気の中でぽうっと浮かび上がる。

しばらくして、車の音が聞こえた。
「ただいま〜！」
ドアを開けた孫たちの顔が光の中に現れる。

「こ〜ちゃん、まぶしい〜！これで芋ほりするの？」
「そうだぞ。今日は夜のいもほり大会だ！」

３歳の子はつるをぎゅっと握り、５歳の子がその後ろで「よいしょ！」と声をかける。
こ〜ちゃんも後ろから手を添えて、みんなで声を合わせた。

「うんとこしょ、どっこいしょ！」

土がふかふかと動き、つるの先から大きなさつまいもが顔を出す。
「わぁ〜！でた〜！」

つるの先には４つ、５つの芋が仲良く並んでいた。
光の中で赤紫に光るさつまいもが、まるで宝石のように見えた。

孫たちは泥だらけの手を見せ合って笑いあう。
「こ〜ちゃん、また“うんとこしょ”しようね！」

こ〜ちゃんは静かに頷きながら、胸の奥がじんわりとあたたかくなった。
秋の夜風がやさしく吹き抜ける。
投光器の光に照らされながら、家族の笑い声がいつまでも畑に響いていた。