春の訪れを感じる桜の季節 - デイサービス利用者と共に過ごす花見

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ことり戦隊🐥🐣🥚🐣🐥

2025/03/20

田舎の花見スポットの公園駐車場は
各デイサービスのバンで混み合う

介護士の手を借りながら手押し車に掴まらせてもらい、ゆっくりとみんなで桜並木を歩く
この押し車は気を抜くと左へ左へ曲がるので
常に下を向いて軌道修正をしながら歩かねばならない

介護士が杖のかたを支えて歩きながら
「ことりさーん、ついてきてますかー」
と振り返り「あーい」と大きく返した

手押し車に落ちてくる花びらをみると
やはり桜を見上げながら歩きたくなった

そしてやはり少しずつ左へ左へ進んだようで
気がつくと私は
別のデイサービスの花見グループの行列にいた

隣の両杖使いの紳士が「おや⁉︎すみちゃん？」
と声をかけてきた
すみちゃんではないが「あいあい」と返事をしながら一緒に歩いた

「みんなが亡くなったと言ってたから寂しかったよ」
「あいあい、ちと帰ってきましたわ
いつも見守ってるから、あなたも元気だしなされよ」

私達は木のベンチで腰掛けた
「逢えてうれしい、また花見ができるなんてなあ、泣けそうだなあ」
すみちゃんが降臨したように私の口が動く
「私もうれしいわあ、またデートできるなんて」
紳士が私の手を握り、私も握り返した

春風が吹くたびに、花びらが再会を祝うように降りそそいだ

まもなく左から「ことりさーん」右から「しげるさーん」と介護士が走ってきた

それぞれの介護士の前でしげるさんは「これ奥さんのすみちゃん」と満面の笑顔で紹介した

私は独り身であったがこの瞬間嬉しかった

うちの出来る介護士が「すみさん、旦那さんと逢えてよかったですね」と言った

押し車に掴まらせてもらって立ち上がり
「じゃあしげるさん、またね」と笑った

しげるさんも「寂しいけどまた会おうでな」と長い握手をした

それぞれの介護士同士が「お疲れ様です」と挨拶して別れて歩き始めた

メジロのさえずりにまざって
会ったことないすみちゃんの「ありがとう」の声が聞こえた気がした