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夕闇さん
あの日、病室の窓からは燃えんばかりの赤い夕陽が室内に差し込んでいた。
それは雲間から差す一筋の光芒のようで、窓から真っすぐと伸びて病室の空間を斜めに横断し、入り口の戸まで続いていた。そんな病室の窓際に置かれたベッドの上に横たわっていると、まるで自分が柔らかい雲にでも乗っていて、地上に差す光芒の根元にいるかのような錯覚を覚えさせた。
赤、赤、赤。空も雲も町も、窓台に置かれた一輪の真っ白なヘレボルスでさえ自身の色を忘れて、一様に赤に染まっていた。
まるで空から水で薄めたトマト缶をひっくり返したみたいだ。そう思うとなんだかおかしくて、私はこの情景をそっくりそのまま写真で切り取って、誰かに伝えたいと思った。そうだな、写真のタイトルは「調理人」だ。大学病院の最上階の病室に泊まっている私が、トマトソースで下界を和えて一緒くたに調理してやる、そんな意図を込めて。そんなことを考えながら、私は少し浮かれた気持ちでベッドサイドに置いてあったスマートフォンに手を伸ばす。
「あ」
確かに掴んだと思ったのに、スマートフォンは私の細い指をするりと抜け出し、ガンともゴンともつかない無機質な音を二つばかり立てて、それきり静かになった。
まさかここまで筋力が落ちているとは。しかし私はこんなことで落ち込みはしない。今の私にとっては、できることを見つけることの方が難しいから。もう一人で歩くこともできないし、一人で用を足すことだってできない。今更スマートフォンが持てないことくらい、なんてことはない。
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