自分の面が曲がっているのに、鏡を責めてなんになる。

人間には自由意志がある

そう人は信じているし、宗教、
少なくともキリスト教にもそれはある。
その自由意志の名のもとに、神の意思から
離れたとしても、仕方ないという一種の諦めめいたものだ。

しかし近年の脳科学の発展、肉体の研究によって
人間の意思というものが、必ずしも
その個体の脳からスタンドアローンで生まれる
ものではないという事が分かってきた。

脳は体から影響を受けるし、体は環境から影響を受ける。
そして脳そのものが肉体を動かす仕組みとして
実際は体が動いた後に脳がそれを認識して
「自分の意思で動かした」と錯覚している。

これらの情報を踏まえた上で考えてみると
「自由意志などそもそも存在するのか？」
という話になってくる。

人の体と脳が環境によって作られ、
そしてその脳も体の反応に合わせて動いているだけなら
私達に「意思」というものはあるのか
そして「責任」というものはあるのか

全ては遥か太古、宇宙が始まった時点で
仕組まれた「大いなる流れ」の延長線上に
今の私達がいて、それを「プログラム」と
呼べるのなら…

誰1人として悪くはない。
例え、悪い事をしてもその「責任」はその人間にはない。

「宇宙が悪い」

そう言える。

しかし人間の心はそうは簡単に問屋はおろさない。
自分が傷つけられたのなら、それを発散する為に
法が許すも許さないも、あらゆる手段で
何かを傷つけようとする。
逆も然りだ。
自分が救われたなら、何かを救おうとする。
その心があるからこそ、人は救いようがなく
そして、救いようがある。

しかし「全てはプログラムのせい」と考えるならば、全て許す事ができるんじゃないか

とてつもなく虚しい考えかもしれないが
その方がまだ人は揺さぶられずに済む。
少なくとも誰かが悪い事をしても
「その原因はその人の中にだけあるわけじゃない」
と思える様になる。
例えば毒親が過去に虐待されていた事を知り、
腑に落ちてそれまでの憎悪が共感に変わる様に。

少なくとも、私の心はだいぶ普通の人間から
かけ離れてきてしまった。
若干人間の世というものに飽きが来始めている
だから人ならざるものに興味が移っているのだろう。

更に科学が進歩し、植物などが持つ知性の正体が明らかになり、もしも
「実は人間は豆苗よりも知性が低かった」
なんて事が明るみに出た日には…
面白いな