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ほうろうしゅ

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俺たちが次に立ち寄った村は、小さな畑が広がる静かな場所だった。ところが、村に入るなり「いやしい男トトがまたやらかしたらしいぞ!」と噂話が飛び交っている。

興味を惹かれた俺たちは、村の広場に向かった。そこには、泥だらけの青年が縄でぐるぐる巻きにされていた。これが噂のトトらしい。彼の前には怒り心頭の村長が仁王立ちしている。

「トト! お前、また畑から作物を盗んだな!」
「ち、違うんだ! 本当に俺じゃない!」

どうやらトトは「夜中に畑から作物を盗むいやしい男」として村中から白い目で見られているらしい。しかしその割には彼はあまり必死に弁明していない。

「証拠はこれだ!」
村長が取り出したのは……猫?

「これがどうして証拠になるんだ?」俺は思わず口を挟んだが、村長は真剣な顔で説明し始めた。

「この猫は、トトが昨夜畑で抱えていたものだ! つまりこいつ、大根を盗むつもりが猫を掴んでいたんだ!」

「待て待て!」トトが大声を上げた。「俺は確かに大根を掘ったつもりだったんだ! でも、掘った大根が『にゃー!』って鳴いたんだぞ! そんなことあるか!?」

村人たちは一瞬沈黙した後、堪えきれずに笑い出した。

「大根が鳴いた? お前、夢でも見てたんじゃないか?」
「いいから猫を元の場所に返してやれよ!」

トトは顔を真っ赤にして抗議する。「本当なんだ! 俺はただ、みんなが忘れていった野菜を畑に戻してただけなんだ! そしたらいつの間にか猫を掴んでて……」

それを聞いた村人の一人がぽつりと言った。「確かに、最近野菜が戻ってくることがあるって話があったな。」

村長も腕を組みながら唸る。「もしやトトは盗んでいたんじゃなく、寝ぼけて畑に戻していただけか?」

「そうだ! 俺はいやしい男じゃない! ただの寝ぼけ男だ!」
トトの必死の訴えに、村人たちは大爆笑。中には涙を流しながら笑う者までいた。

「まあ、真相はわかったが、大根と猫を間違えるのはお前くらいだ!」村長も笑いながら縄を解いた。「次からはちゃんと目を覚ましてから畑に行けよ。」

その後、村は平和を取り戻したが、トトの「大根が鳴いた」という言葉は村の名物ネタとなり、宴会のたびに話題にされることになった。
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ほうろうしゅ

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俺たちはそんな村を後にしながら、フィリィがぽつりと言った。 「英雄よりも、村の笑い話のほうが長く記憶に残るかもね。」 「いや、俺はそんな記憶いらないんだけどな……」 どこかほっこりした村の夜だった。

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