共感で繋がるSNS
GRAVITY(グラビティ) SNS

投稿

ほうろうしゅ

ほうろうしゅ

俺たちは村人たちに押されるようにして、「幻影竜」とやらが出没するという近くの洞窟へと案内された。村人たちは口々に言う。

「英雄様なら大丈夫です!」
「どうか、私たちをお救いください!」

いや、だから俺は英雄じゃないって! しかしフィリィは横で楽しそうに手を振り、完全に俺を差し出している。

洞窟の前に着くと、村人たちは「お供えです」と言って、何やら得体の知れない物資を俺たちに押し付けてきた。中を見れば、干からびた野菜や壊れかけの剣、そして――なぜか鏡。

「なんで鏡?」
フィリィが肩をすくめて言う。「光の英雄の影響じゃない?」

俺たちは洞窟に入ることになったが、案の定、幻影竜はそう簡単に出てこない。代わりに現れたのは無数のコウモリ。しかも鏡が反射する光に引き寄せられて、俺たちに猛突進してきた。

「なんで俺ばっかり!?」
「ほら、英雄なんだから頑張って!」
フィリィは笑いながら身を翻し、華麗に逃げる。俺は必死に鏡を振り回し、コウモリを追い払った。

奥へ進むと、ついに幻影竜が姿を現した。霧のような身体が洞窟全体を覆い、まるで実体がないように見える。

「どうやって戦うんだよ、これ……」
「英雄さんならなんとかして!」
フィリィが楽しそうに言うが、俺はすでに心が折れかけていた。

その時、鏡に映った幻影竜が自分の姿を見て、突然うなり声を上げた。

「俺、強そう!」
そう言って自己陶酔し始めた幻影竜は、鏡の前でポーズを取り続けている。

「え……これでいいの?」
フィリィが笑いをこらえながら言った。「鏡を渡しておけば、たぶん一生ポーズを取ってるんじゃない?」

俺たちはそっと鏡を置き、後ずさりしながら洞窟を出ることに成功した。村人たちは大喜びで俺たちを迎えたが、俺は手を振りながら言った。

「いやー、光の英雄さんのおかげだな! 本当に助かった!」

村人たちが再び鏡男の方へ歓声を上げる中、俺とフィリィはそそくさと村を後にした。

「なかなか英雄っぽい振る舞いじゃない?」
「もう二度とやらないからな!」

こうして俺たちは、次の冒険地へと足を向けた。やっぱり平穏とは縁がないらしい。
GRAVITY
GRAVITY7
話題の投稿をみつける
関連検索ワード

俺たちは村人たちに押されるようにして、「幻影竜」とやらが出没するという近くの洞窟へと案内された。村人たちは口々に言う。