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ジョドー
福岡に86歳になる伯父がいる。苦労人で亡き祖父が何度かの結婚を繰り返し、外でも愛人をつくるなど子供たちに心配をかける中一家の長としてなにくれとなく兄弟の面倒を見てきた。私も父が物故した後、伯父夫婦に葬式の一切を取り仕切ってもらった返したくても返せない大恩がある。
穏やかな人である。故石原慎太郎を優しくしたような風貌と声の持ち主で、叱るわけでない柔らかい福岡弁で話しかけられるとああ、いい人なんだなと心が温まる。
父が亡くなった頃、私と父は五年近く絶縁状態だった。うつ病と結婚をほぼ同時期に経験した私は、新しい家庭を守るため何より治療に専念するため、父と距離を取る必要があった。
伊豆の介護施設で、彼が息を引き取った後その遺骨を引き取ってくれたのが伯父であった。福岡から新幹線で現地まで赴いてくれたことを思うと、今考えただけでも赤顔の至りである。
あの頃は、伯父夫婦や二組の叔母夫婦のご厚意を素直に受け取れなかった。なにくれとなく助言をしてくれた伯母や叔母の一言を邪推し、却って憎まれ口を叩いたくらいだ。それに対して、伯父は叱りつけるわけでもなく静観していた。いつかはわかってくれる日が来ると、待ってくださったのかもしれない。
伯母には去年の今頃、亡くなる前にお会いして遅まきながらお礼を述べた。もう二度と会えないと死期を悟っていたのだろうか。潤んだ目で何度も頷いていたさまが忘れられない。
生涯の伴侶を失い、意気消沈していたであろう伯父は間もなく介護施設に入所した。認知症が進行していたのだ。家族や兄弟のため身を粉にして働いてきた伯父は、今は何を思って生活しているのか。
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