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わたり(未亡人)

わたり(未亡人)

あれから半年が経って、辺り一面が白くて世界の色は薄くなった。あの日星からもらった冬もすっかり夏になってしまった。寒い季節だから、夏の暑さは心地良くて、いつでも星のことを思い出させてくれる。しかし、それと同時に、星も人間と同じように死んでしまうんだということを感じさせるかのように、星にもらった夏はだんだんと消えそうに小さく透明になっていくのだった。星が死んでしまった後のあの日に聞いた、超新星爆発した星の物質が集まって新しい星を作るという話は、私にとって希望であって、今途切れそうなこの夏も私や、この世界の何かに新しく作り変わっていくのだろうと信じている。もう夜空を見ても私のことを見てくれる星はいないし、逆に太陽はチラチラと見てくるようになってきた。冬の太陽は落ち着いていてあんまり怖くないけど、星から貰ったこの夏が消えてしまったら、次にやってくる暑い季節の太陽は、死んでしまったあの星のことを思い出して乗り越えよう。新しく出来る星を見ることは多分出来ないけど、次のその星は、またどこかの誰かに目配せでもするんだろうな。私は夏が途切れても、忘れないよ。そう思いながら、手に包まれている夏をぺろっと舐めた。しょっぱい。
「久しぶりだね、こんなふうな味」
星の笑った顔が、消えゆく夏のもやの中でうっすらとこっちを見ている気がした。
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ひぃく

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|´-`)チラッ

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🫣
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 あれから半年が経って、辺り一面が白くて世界の色は薄くなった。あの日星からもらった冬もすっかり夏になってしまった。寒い季節だから、夏の暑さは心地良くて、いつでも星のことを思い出させてくれる。しかし、それと同時に、星も人間と同じように死んでしまうんだということを感じさせるかのように、星にもらった夏はだんだんと消えそうに小さく透明になっていくのだった。星が死んでしまった後のあの日に聞いた、超新星爆発した星の物質が集まって新しい星を作るという話は、私にとって希望であって、今途切れそうなこの夏も私や、この世界の何かに新しく作り変わっていくのだろうと信じている。もう夜空を見ても私のことを見てくれる星はいないし、逆に太陽はチラチラと見てくるようになってきた。冬の太陽は落ち着いていてあんまり怖くないけど、星から貰ったこの夏が消えてしまったら、次にやってくる暑い季節の太陽は、死んでしまったあの星のことを思い出して乗り越えよう。新しく出来る星を見ることは多分出来ないけど、次のその星は、またどこかの誰かに目配せでもするんだろうな。私は夏が途切れても、忘れないよ。そう思いながら、手に包まれている夏をぺろっと舐めた。しょっぱい。