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りねん
父が息を引きとった病院の個室には、水泳競技のタイムを測る機械のように大きな心電図モニターが置いてあった。
臨終が近くなると、それまで画面が見えないように配置されていたモニターの向きを看護師さんが見やすい位置にかえた。
その時がくるまで、私は兄と義姉と見守り、父に声をかけていた。母も急いでかけつけようとしていた。
医師は「反応がなくても耳は聞こえてますから、声をたくさんかけてあげてください」と言った
元気だった頃、父は当時現役で活躍していたイチローのファンで、メジャーリーグの試合をアメリカまで出向き何度か見に行くほどだった
ひとり旅だったり、母や友達も連れて行ったり。
その後、いくつかの病気をかかえて入退院を繰り返した期間も日本人選手の活躍をネットの中継で楽しんでいた
みんな泣きながら父に声をかけていた。足や手は冷たくなっている。
もう一度だけでも意識はもどらないか試しに
「お父さん、オータニがホームラン打ったよ」
ダメだった
「お父さん、〇〇(甥)が東大受かったよ(嘘)」
それもダメだったが、とりあえず兄夫婦も泣きながら笑った
それから何分たって、冷たかった父の手足がふんわりと温かくなった。不思議だった。義姉にも触れてもらったが本当に温かくなっていた。が、また冷たくなった
やがてカウンターの音がピッピッピッとだんだん速くなりバイタルの波線の山がみるみる低くなりその時がきた。
まるで医療系のドラマで見かける場面じゃないか、何これと思った
最後の瞬間のピーーーーという音の時に、
兄が「お父さんありがとう」と言った
そんなことを、大谷選手周辺の最近の騒動を見て思い出している桜開花の時期
今年は命日近く、お墓参りに行きます🌸
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内心こんなので出来るの〜とか思ってたけど大満足◎
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